Vol.17

ドスコイ!

ワンダーデバイスに一目惚れして、こんな家で暮らしたいな~という思いが日に日に募り、といって先立つ物もなく、なんとか頭金の一部だけでもと思って、無理やり父親を展示場に連れて行きました。ワンデバの中に入るなり、やおらメガネを取り出してハーッと息を吹きかけフキフキ。壁の隅々までじろじろチェックした後、低い声でひと言「ラフだな」(ちなみに、父親の趣味はビンの中に模型の帆船を組み立てるボトルシップ作りで、細かいことが大好きです)。いくら、「このラフがカッコいいんだ」と言っても、てんで通じません。どうしたら父親にわかってもらえるでしょうか。

BIGFOOTBOY

厳正っていうのは、なんて味気ないんだろう。それを目の当たりに見せられたって感じだったな。大相撲の、名前もお固い「技量審査場所」。テレビ中継じゃなかったから取組みを見たわけじゃないけど、新聞の写真の力士や行司、そして客席の顔まで、なんともぎこちない表情。八百長事件の後だし、監察委員の親方や監視カメラがニラミをきかせているんじゃ、自然とこわばってしまうんだろうけど、花がないっていうか、土俵と客席とのあの祝祭感が消えて、残ったのはゲンセイを必死でなぞる絵姿、相撲にスポーツの厳正を求めた人達は、本当にこんな相撲の姿がいいと言うのかな? 厳正や合理性だけを求めるなら、きょうびマゲなんて意味ないし、ましてや外人の女性がオーマイガット!と顔を赤らめつつも指の間からかいま見る褌姿も短パンで十分ということになってしまう。味気ないね~。
 家だって、ピンと張りつめた厳正な造りがいいという人もいるだろうけど、BESSはそんな緊張感があるのはゴメンだね。息苦しくなってしまう。ワンダーデバイスだって、新建材を張りつめれば、お父さんも納得するような寸分のスキもない空間にもできるけど、それじゃあ、のびのび感、ゆったり感はかべの向こうに消えてしまう。おまけに、好きなところに釘打って棚作ったりクライミングウォールにしたりなんていう自由な暮らしの楽しみはシュンとすぼんで、もうワンダーデバイスじゃなくなってしまう。

家はボトルの中に納まった模型じゃない。喜怒哀楽のある人間が、家族や友達とのつながりの中で毎日を暮らす場所●●、相撲で言えば、「技量審査場所」じゃなくて、季節を呼び込む「本場所」だよ。押し出しもあれば、うっちゃりもある。狭っ苦しいビンなんて、中から(はじ)けてしまうような活き活きした生活がある。お父さんにわかってもらえたらうれしいけど、ダメなようなら、まずは自分の体張って、頭金貯めてよ。ドスコイ!

「吐露byBESS」
啄木鳥通信で連載中!

「吐露byBESS」、啄木鳥通信で連載中!

この「吐露byBESS」は、BESSの季刊誌「啄木鳥通信」でも連載中です。
「吐露」のほかにも、BESSにつながる特集記事や、商品開発の裏話など、BESSの新たな一面が発見できる、読み応えたっぷりの記事が満載。全国の展示場で登録していただくと、毎号ご自宅にお送りいたします。ぜひ、お近くの展示場でお申し込みください。