前ページに戻る
ダーウィンが進化論の発想を得たことで知られるガラパゴス諸島には、世界自然遺産にも指定されている希少な固有動植物が数多く生息しています。しかし近年、外部から持ち込まれたヤギが野生化し、その食害などにより数多くの固有植物が絶滅の危機に瀕し、かつての生態系バランスが崩れています。ダーウィン研究所では、世界でも有数の「自然の宝庫」であるガラパゴスの自然保護活動への取り組みで、世界的に高く評価されています。
 
ガラパゴス固有の生態系復元を目指して、
活動内容が新しくなりました。
フォレストクラブでは、これまで5年にわたって、絶滅が心配される植物を柵で囲って保護・復元する活動を支援してきました。今年から、ダーウィン研究所の新しい活動がスタート。エスパニョーラ島における、ウチワサボテンなどの植物の再生活動に力を入れています。芽や茎が鳥や爬虫類の餌となるウチワサボテンは、野生化ヤギ撲滅後も数を増やせていません。同研究所では、絶滅寸前だったガラパゴスゾウガメの繁殖に成功しています。しかし、同時にその餌となるウチワサボテンを増やしていかなければ、本来の生態系の
バランスは取り戻せません。活動の目的は、ガラパゴス本来の生態系を取り戻すこと。フォレストクラブでは今後も、島にかつての姿を蘇らせるための同研究所の活動を応援していきます。
 
島には成長したウチワサボテンはほとんどない状態。現在、サボテンを餌にしている動物との相関関係を調査中
 
調査、研究を行いながら島の環境保全を進めているダーウィン研究所
 
樹木のようなウチワサボテン。成長すると、高さ5m近くまで大きくなる
 
体重200キロはある世界最大のリクガメ
 
略歴
伊藤秀三 長崎大学名誉教授。ガラパゴス ダーウィン研究所 客員研究員。
1964年 ガラパゴス学術探検に植物生態学担当員として参加。
1967年以降、長崎大学でガラパゴスのほか、太平洋や日本近海の島の
植物生態学研究に従事。
1998年より ダーウィン研究所と共同で、経団連自然保護基金の支援を受けて
ガラパゴスの自然保護活動を推進。

ガラパゴスは、19世紀にダーウィンが「進化論」の発想を得た当時からほとんど環境が破壊されていない、いわば「魔法の島」です。体重200キロもある小山のようなゾウガメ、赤道下に生息する珍しいガラパゴスペンギン、"恐竜の孫"のようなウミイグアナ。 また、人間の背丈を超える大きなサボテンや、キク科なのに高さ13mもの大木になるスカレシアなどの植物。彼らは世界の他の場所には見られない、ガラパゴス固有の生物です。そして、果てしなく広がる群青の海と空・・・。1964年に学術探検で訪れてから、私はその魅惑的な自然景観と、興味つきない不思議な生物相と生態系に強く心を引かれ、以来9回渡島しています。

ところが、この「魔法の島」にも近代化の波が押し寄せ、世界的に稀少な生態系が失われようとしています。入植の際に持ち込まれたヤギが野生化し、固有植物を食い荒らしたり、帰化植物がガラパゴス本来の植物を駆遂するほど繁茂したり・・・。ガラパゴスの固有種が絶滅することは、地球上からこの貴重な生物が消えるということです。

こうした危機的状況に対し、私が客員研究員を務めるダーウィン研究所では、経団連からの支援金を受けて、絶滅の危機にある植物を野生化したヤギから守るための柵囲いや、帰化植物の広がりをコントロールする為の繁殖生態調査に活用し、着実に成果を上げつつあります。美しく、そして特異な生態系を持つ自然環境、そしてダーウィンの進化論を生んだ科学思想史の聖地。支援金はガラパゴスの特異な自然環境と思想史の聖地の保全に大きく寄与しています。

 
ダーウィン研究所のホームページはこちら 写真提供:ガラパゴス・ダーウィン研究所
 
前ページに戻る