Vol.19

黒くぬれ!

「程々の家」という名前に引かれて、どんなもんかいなと、見学に行ってきました。受付の人に「あの家です」と指差された先を見ると、ぬっと黒っぽい建物が。そろそろっと近づいてみると、一面濃~い茶褐色の壁。
そろーっとドアを開けると、昼間だというのに、まるで鬱蒼とした森の中にさまよいこんだようなほの暗さ。住宅雑誌なんかを見て、新築は明るいものと思いこんでいたアタマに墨汁を垂らされたようなショックを受けました。何かタクラミでもあるんですか?

BIGFOOTBOY

 ローリングストーンズの「黒くぬれ!」っていうのはおいらが一番最初に買ったレコード(当時はまだアナログのドーナツ盤)だけど、タイトルからしてカッコよくて、明るい優等生のビートルズに対して、ダークな不良のストーンズ。音楽だけじゃなくて、そのルックスや言動も、常識や体制に“NO!”と突きつけるような異端性がトンがってて、反抗期の入り口にさしかかったおいらにとって、まさに内なる思いを体現してくれる存在、シビれたもんだったな。ダークだからカッコいい、それを象徴的に表現した曲が「黒くぬれ!」だった。
 「程々の家」も、「良い新築住宅の条件=明るさ」みないな常識があるんだったら、異端かもしれない(今、「異端家」と書いて思ったんだけど、「異端児」じゃなくて「異端家」っていうのも、「小説家」や「画家」みたいに格が感じられて悪くないね、「異端」の大家(たいか)みたいで)。
せっかくの新築なのに、なんでわざわざあんなに暗くするのかって?ほの暗さゆえのしっぽりした落着き、安らぎ、奥ゆかしさ。深い軒や格子戸をかいくぐって忍び込んでくるほのかな光の色っぽさ。不良がいるから優等生もホメられるように、影があるから光も引き立つんだよね(世の中の優等生、感謝してくれよ!)。
 だけどワンダーデバイスは部屋中ぐるりと明るいじゃないかって? 確かに外の光を全面で採り入れるフルオープンサッシュのワンデバや、大きな窓から陽がさんさんと降り注ぐあきつログハウスもある。明と暗。ビートルズ好きもいればストーンズ好きもいる。家の好みだってさまざま。いろいろあっていいよね。――あっちもあれば、こっちもある。共通しているのは、「楽しい暮らしのための道具」ってこと、それがBESSの家だよ。

願わくは、「程々の家」のダークな色気がわかる不良がもっと増えればいいな、そうしたら世の中もっと面白くなるだろうから・・・タクラミというなら、それがタクラミかな。

「吐露byBESS」
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