東欧 ログハウスの歴史

ロシアのログハウス

ロシア・プレオブラジェンスキー聖堂
ロシア・プレオブラジェンスキー聖堂
ログハウスが多く造られてきたのがロシアです。特に北ロシア地方では、11世紀頃まですべての建物がログハウスで造られていました。住宅をはじめ、倉、公共施設、教会など用途も広く、住宅では17世紀頃まですべての建物がログハウスでした。ロシア北部のカレリア共和国のオネガ湖に浮かぶキージ島には、1714年に建てられたプレオブラジェンスキー聖堂のほか、民家、城塞、橋などの建築物が残されています。高さ37mのプレオブラジェンスキー聖堂は、ログ積みの壁の上に22個のタマネギのような塔(ドーム)が載っており、その形はまさにロウソクの炎のよう。これを建てた大工は卓越した技術をもっており、釘を1本も使っていないというのも驚きです。プレオブラジェンスキー聖堂は、1990年にユネスコの世界文化遺産にも選ばれています。

ポーランド、スロバキアのログハウス(カルパチア山系)

ポーランド・ホホワブ村の住居
ポーランド・ホホワブ村の住居
スロバキア・チチマニーの集落にあるログハウス
スロバキア・チチマニーの集落にあるログハウス
東欧でもたくさんのログハウスが建てられてきました。ポーランドとスロバキアの国境近くにあるカルパチア山系には、かなりの数のログハウスが現存しています。古代から近世にかけて独自のログハウスの建築文化が築かれてきたと思われますが、紀元前から12~13世紀にかけて、ドイツ人の東方進出によってドイツをはじめとしたヨーロッパの木造構法が加味されて、合理的な建築方法が完成されました。ポーランドのザコパネ地方のホホワブ村の建物は、住宅だけではなく、納屋、村の集会場、郵便局までログハウスで造られていました。また、スロバキアのチチマニーの集落にある住宅は、ログハウスの壁面に漆喰で幾何学模様が描かれている珍しいものです。