Vol.42

やばい!

インスタグラムでBESSのことを知って、なんか変わった家だなと思って展示場に行ってきました。大きな土間があったり、ウンテイが付いていたり、現物も確かに変わっていました。どんな思いで家づくりをしているのですか?

BIGFOOTBOY

 枕にするには高すぎる。ちゃぶ台には低すぎる。2.5キロ。片手で上げたり下げたり、ちょっとした筋トレにはちょうどいいかも。辞書の大御所「広辞苑」。10年ぶりの改訂で、一万語も追加されるんだって。10年ぶりというのはちょうどいいのかな。10年ひと昔。あぶくみたいに消えていく流行語が山ほどある中で、年月というフィルターに()されて一応生き残った言葉だからね。「がっつり」「のりのり」「ごっち」「雑味」・・・えっ、おいらのこと?ってシンパシーを感じたけど(ちなみに「イケ面」は10年前に入ったそう)、もうひとつ、大事なキーワードが「やばい」。これはもう前から「危険である」という説明で載ってたけど、今回、「のめり込みそう」という意味が加わるんだって。諸説あるけど、元々は江戸時代、射的場を「矢場(やば)」と呼んで、そこで何やらいかがわしいことがされていて役人から目をつけられたら「やばい」。ほかにも(「夜這い」が語源)って、一応括弧(かっこ)付けとこうかな、デリカシーとして。少し前は「その頭、やばいだろ」って、「格好悪い」っていう意味で使われたりしていたのが、180度逆転して「のめり込みそうなほど格好いい」。身も心も持っていかれちゃうほど危険な魅力っていうニュアンスなんだろうけど、「言葉の乱れ」と眉をひそめるムキもあるのかな。――おいらの好きな詩人・茨木のり子さんに「日本語」という作品がある。「制御しがたい奔流は/濁りに濁り/溌剌(はつらつ)と流れてゆくがいい/決壊を防ごうと たとえ百万人/力を併せて清潔なダムを作ってみても/そこに魚は住まないだろう」。上澄みの取りつくろったような言葉より、濁っていても活き活きと(ほとばし)る言葉の方がいい、と。誰よりも言葉を大切にする「詩人」の、言ってのける胆の()わり具合よ!
 BESSの家も節やクラックがあったり、ラフなボロックス合板で間仕切ったり、土間を部屋の奥まで拡げたり・・・決して見た目はキレイでも「清潔」でもないけれど、そこには自然の力がみなぎって、元気で楽しい暮らしが繰り広げられている。ぶ厚い無垢材の壁に釘を打って、お気に入りの革ジャンひっかけたり、好きな色に部屋の壁をペイントしたり、マウンテンバイクを家の中でメンテナンスしたり、太い梁にハンモック吊って揺られたり、吹き抜けにそびえる大壁使ってクライミングウォールに挑戦したり(目指せ2020年!)・・・腹が減ったら、薪ストーブの中からホクホク焼き芋を。その暮らしは、「ダムの中の清潔な水」なんかじゃなくて、「遊び心が溌剌と迸る奔流」かな。BESSの家やばい!、と思ってもらえたらうれしいな。

「吐露byBESS」
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