Vol.09

美人は三日で…

「程々の家」の広告を見て、雰囲気のある写真に引かれ、BESSの展示場にモデルハウスを見に行ってきました。
どっしりとした大屋根や縦張りの板壁、風鈴の揺れる広縁など、なつかしい感じとともに「いいなあ」という思いが高まりましたが、よくよく細かいところを見ると、節や荒っぽい仕上げなど気なる面もあります。
せっかくいい雰囲気の建物、もう少し細かい所にも気をつけてつくることはできないのでしょうか。

BIGFOOTBOY

 美人は三日で飽きる――って、おいら、美人と付き合ったことないから、しかとは言えないけど、わかる気がするなあ。飽きるっていうんじゃないけど、絶世の美女と一緒に暮らすとなったら、こっちも知らずカッコつけちゃって、四六時中くしを片手にゴワゴワの毛をなでつけたり、目ヤニがこびりついていないか鏡を気にしたり、背中が張って肩が凝って、おいら、三日で逃げ出しちゃうかもね。
 「程々の家」の節が気になるって?仕上げが気になるって?要は、ツルツルスベスベのお肌の家がいいってこと?好みは人それぞれだけど、ご覧の通り、あいにくBESSには“お肌美人”はいないんだよね。なぜかって?よく「僕は〇〇を家に持ち込まない主義だ」なんていう言い方があるけど、それにならって言うと、「BESSは緊張感を家に持ち込まない主義だ」。これもまた人それぞれだけど、「なるべく緊張感のない暮らしの方が楽しんじゃないの?」ってBESSは考えているから。
 壁も床もピッカピカ、仕上げはピシッと隙のない出来映え――それをお望みなら、無垢材でなく、薄板を接着材で張り合わせて木目柄をプリントした合板を使えば、節もないし、木目は流麗で(いわゆる“木目調”っていうやつね)、仕上げは寸分の狂いもなくて、“気になる面”もなくなるんだろうけど、それと一緒で、“なつかしい”“せっかくのいい雰囲気”も消えてしまう、それは間違いないよ。プロとして、それをわかった上で、つくってるんだから。それに、だいいち、家の方が(皺やシミのある)人間より“完璧”になってしまったら、かえって窮屈で、暮らしに緊張感が走るんじゃないかなあ、美人と、それも天然の美人でなく、“整形美人”と暮らすみたいに。

造りすぎず、飾りすぎず、“程々”を良しとする――
それが「程々の家」のこころだよ。

「吐露byBESS」
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