Vol.24

Time is on my side.

建築科の学生です。卒論テーマとして、木の家における経年変化について研究しています。この主題に関して、BESSさんの考えを教えて下さい。

BIGFOOTBOY

 007の最新作「スカイフォール」が今年のアカデミー賞・主題歌賞を 受賞、47年ぶりのオス力ー獲得だって? そりゃ、おめでとさん。なんでもシリーズ50周年記念で、23作目、世界最長シリーズってことだけど、本数で言えば我が「男はつらいよ」は48本(!)でギネス公認。007も今のぺースじゃ、あと50年たっても追っつかないね。いくら不死身っていったって、ジェームス・ボンドもさすがにあと50年は…偉大なるかな寅さん!
 「ゴールドフィンガー」「死ぬのはやつらだ」…数ある007話題作のでもおいらのお気に入りは、ショーン・コネリー最後の主演作「ダイヤモンドは永遠に」。ダイヤモンド密輸の黒幕に挑むハラハラドキドキのド派手なアクション映画だけど、このタイトル、おいらに言わせりゃ、ダイヤだろうと何だろうと、永遠なモノなんてあるもんじゃアない。すべてのモノは年月とともに必ず劣化する。抽象的な言い方をすれば、ダイヤよりも“時”の方が硬いんだよ。“時”のノミってやつは、ダイヤだろうと、岩石だろうと、おいらの顔だろうと、容赦なく削っていく、泣こうと叫ぼうと尻まくろうと、おかまいなしさ。おいら、それだけは知ってる。「時よ止まれ!お前は美しい」とゲーテのファウストは叫んだけど、時は止まりゃしないし、美しくもあれば残酷でもあるんだよね。
 それをいったん受け入れて、諦めて、「だったら、その過程を楽しもうよ」っていうのがBESSの考え方。名づけて、“経年楽観主義”。無垢材だからハイ味わいが出ますよ、なんてお手軽なことじゃなくて、味わいと感じるかどうかはその人の感性しだい、「変化していくプロセスを楽しもう」っていう心。その心からいとおしさも湧いてくるし、手をかけて大事にしたくもなる。結果、木の家だったら、木肌がアメ色になったり、木目が浮き出たりして、味わいや風格が生まれるんだと思うよ。これって、なにも家だけの話じゃなくて、人だって同じじゃないかな。年をとることに逆らうんじゃなくて、まずは受け入れて、その変化の過程を楽しむ。

学生さん、まだまだこの先長いけど、そんな気持ちで人生おくれたら、何十年後かに、古いリズム&ブルースの名曲タイトルみたいに“Time is on my side(時はおいらの味方)”って言えるキミがいると思うよ…少しは卒論の役に 立ったかな?

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