加藤さん×瀬下さん
加藤さん×瀬下さん
加藤さん×瀬下さん
加藤さん×瀬下さん
ヒトはなぜ、木を愛してしまうのか vol.1

木で育つ子どもが
ワクワクする未来をつくる!

「ふじようちえん」園長 加藤積一
× BESS 瀬下未来子

ヒトはなぜ、木に惹かれるのか。その理由を探るべく、木への偏愛をBESSのメンバーと各界のスペシャリストが語り合います。第1回目は、自然を取り入れた独自の園舎と教育方針が世界で注目を集める「ふじようちえん」園長・加藤積一さんとLOGWAYの施設づくりや「BESS多摩」の立ち上げなどを担当してきた瀬下未来子が、木と子どもの成長の関係について語り合いました。

PROFILE

加藤さん × 瀬下さん

木は人の五感を刺激する良きパートナー

瀬下

さっそくなのですが、加藤さんはBESSをご存じでしたか?

加藤

うちの園が「BESS多摩」の近くにあるので、前を通る度に「かっこいいな」と思っていました。

瀬下

ありがとうございます! 今日、「G-LOG なつ」と「COUNTRY LOG」の中をご覧になっていかがでしたか?

加藤

薪ストーブやフローリングに落ち着きもあって、良い時間が過ごせそうですね。木には素材としてエネルギーを感じるので、もともと好きな素材で。ここはその自然な空気感を感じます。

瀬下

うれしいです。「ふじようちえん」も木を多用されていますよね。

加藤

基本的に「自然のものに触れてほしい」という考えで、床や机、椅子、旗を掲げるポールも木。敷地には樹齢60年くらいの大きなケヤキがあり、切ってしまうと長年紡がれてきたいのちが終わってしまうから、改装後に園舎を貫通する形で残しました。昔から木には役目があって、ケヤキなんかは水を吸い上げる力が強いので蔵の近くに植えてあることが多く、蔵に入れた帯や着物の湿気をとってくれるんです。

瀬下

すごく理にかなってますね。

加藤

木が暮らしと一体になっているのは日本ならではの生活文化なんです。BESSではどういった木を使われているのですか?

瀬下

杉やパイン材が多いです。家づくりで重視しているのは「いかに人間らしく、楽しく心豊かに過ごせるか」。その主役は、家ではなく住まう人なので、人がのびのびとおおらかに過ごせる素材を、と考えて木を選択しています。

加藤

人間らしく、というのはまさにそう。木は子どもの成長にも良い影響があって、うちは園庭が草場、井戸の水場、砂場、泥場など様々なマテリアルがある中で、屋根の上が木場。そこでは実際に木登りしたり葉を集めたり、実を探したり、初夏は新緑が彩り冬は枯れ葉になる。木は遊びの中でいろいろ教えてくれるので、子どもにとって良きパートナーですね。

瀬下

確かに、子どもたちは特別な遊具がなくても木があれば工夫して遊びます。木は発想を広げてくれる素材ですね。

加藤

そうなんです。自然の変化も学べたり、このログハウスの無垢の木のように一つひとつ表情が違って、経年で色が変わったり艶が出てくるのを目の当たりにしていると創造性も育まれる。それが木に囲まれた環境の良さだと思います。

瀬下

直接触れる感覚も大事ですよね。BESSの展示場では、来場される方には「できるだけ裸足で歩いてください」とお声がけしているんです。木ってやっぱり五感で楽しめる素材で、足や手で触れ、香りを感じたりすることが日常の中にあると、すごく感性が刺激されます。

加藤

実は「ふじようちえん」も上履きはないんですよ。

瀬下

同じですね!

加藤

裸足で歩くと地面を掴む力が出てきて土踏まずの形成が早くなり、運動神経や脳の発達にもリンクするとも言われていて。冷たい、あったかい、柔らかいとか「自分で感じること」が心の形成にも繋がってくる。だからログハウスで過ごすと、体が丈夫になるだけではなく、感受性も豊かになるんじゃないかなと思います。

空に伸びる大きな三角屋根が特徴の「G-LOGなつ」。空中の超ベランダ空間「NIDO」が自然を室内にとりこんでくれる

家も園舎も“道具”
ちょっとの不便が子どもを成長させる!

瀬下

「ふじようちえん」は、ドーナツ状の園舎の屋根が子どもの遊び場になっていたり、ユニークな環境が世界的に注目を集めていますが、園舎づくりで大切にされたことはなんですか?

加藤

最初からこの形になったのではなく、改築する時にアートディレクターの佐藤可士和さんと話している中で「デザイナー、建築家、私を含めた先生など園に関わる人、そして園舎などの環境のすべてが“子どもたちが自ら育つための道具”」という考えを伝えました。デザイナーにいきなり言うことじゃないと思いますが(笑)。

瀬下

BESSでも「家は、道具。」という言葉を30年くらい前から発信しています。

加藤

おおっ、通じますね。

瀬下

「人が心豊かに楽しく生きるための道具として家がある」という考えです。

加藤

あくまで主役は人、ですよね。たとえば子どもは横断歩道を渡る時に白いところだけ踏んだり、柵があったら走りながら手の平でババババって弾きたがるとか、みなさんご経験があると思いますが、これは、子どもなりの秩序感を自ら形成している行為なのです。

瀬下

絶対やりますね(笑)

加藤

つまり、そういう子どもの「学びをデザイン」したいと話したら、佐藤さんが「分かりました、僕は『状況をデザイン』します」と言い、建築家の手塚さん夫妻も共鳴して図面に起こし「建築をデザイン」しました。それを形にしたのが、園舎自体を巨大な遊具にするという環境です。今も真ん中に「子どもの育ち」があって、その三極のスパイラルがグルグル回っています。

瀬下

面白い成り立ちですね。

加藤

あと「もっと不便につくってください」というのはすごく言いました。今の子どもたちは手をかざしたらセンサーで水が出る水道だったり、便利に慣れすぎていて、それが育ちにいいとは思えない。なので、教室の戸をわざと隙間ができるようにしたり、様々な場面であえて不便をつくっています。そうすると子どもたちは考えて工夫し、気付きや成長に繋がります。それを不便による利益「不便益」と呼んでいます。

瀬下

すごく分かります! 私は東京のマンションで暮らしながら子育てをしていて、すごく便利で快適なのですが、ふと「この子が大人になった時に生きていけるのだろうか」って不安になることがあるんです。

加藤

社会が100点満点主義で効率や利便性、快適性を追い求め続けたので、今は完璧に整った環境が良しとされていますから。でもそれで自立心が育つか、将来たくましく生きていけるかと言われると疑問ですね。

瀬下

たとえば自転車が乗れるようになったから、思いきり走り回りたいだろうけど道が狭く整備されすぎた都会ではできなかったり……現代は便利で安全な反面、挑戦したり失敗する機会が減っているのを実感しています。

加藤

考え過ぎる時代というか。うちの園庭なんてわざとデコボコにつくって、ちょっと乱暴かもしれないけど、走って転べば良いって思っています。子どもは1回転んだら、次は気をつけるから学ぶんです。

瀬下

本当にそうですよね。小さい失敗を重ねることで成長する。

加藤積一さん 良い時間が過ごせそう!
瀬下未来子さん 木は五感で楽しめる素材!
加藤

ほとんどのことが1回ではうまくいかないですから。お話していて「ふじようちえん」と通じるものを感じますが、BESSの家づくりで大切にされていることはなんですか?

瀬下

今は、子どもを家の中心に置いているご家庭が多いですが、BESSの家づくりには、『大人が主役』という大前提があります。もちろん子どもをないがしろにしているわけではなく、大人がいきいきと楽しんで暮らしている姿を見せることが、元気でたくましい人間に成長する一歩になるという考えです。BESSの家で暮らしているご家族は、親子でデッキの塗装をしたり庭の畑で一緒に野菜を育てたり、大人の遊びに参加することが子どもの経験や学びにもなっているというお話をよく聞きますね。

加藤

屋根裏部屋があったり、家自体が子どものいろんなアクションを誘発するような仕掛けになっていますよね。

瀬下

小さなお子さんが初めてはしごを登るチャレンジを親御さんがハラハラしながら見守っていたり。「不便益」と同じで、便利さはほどほどに、工夫する喜びを大切にしています。

加藤

この薪ストーブとかまさにそうですね。今はIHになって火元がない家も多い。

瀬下

なんだか心の火も消えるような。

加藤

その通り! うちの園でも裸の火を見せたくて薪ストーブを置いています。薪をくべて世話をすることで、過ごす時間が豊かになる。焼き芋は美味しすぎるから子どもにはあげませんが(笑)

瀬下

そうやって親が手間をかけて楽しんでいる姿を見て、子どもは「早く大人になりたい」「ここを巣立って自分の居場所を自分で作りたい!」と思うんですよね。なのでBESSの家は、その準備期間として子どもの自立心を促す“道具”でもあるんです。

加藤

家も幼稚園も“道具”として使うことで……

瀬下

人生はもっと面白くなる!

加藤

ログハウスは、その最たる環境じゃないかな。

瀬下

ただ、どうしても家は高い買い物なので、大事にしようという方も多く、その気持ちも分かりますが、自分と家族が主役で楽しく生きるために建てたはずなので、どんどん使い込んでほしいですね。

加藤

BESSの家は、なにより見た瞬間にかっこいいなと思うんですよ。それでこの空間でどんな生活ができるのか、家族でどんなコミュニケーションをとれるのかを想像できるし、楽しい時間を家自体が発信しているんですよね。

瀬下

展示場に来た子どもたちは、もう本能のおもむくままに好きな場所をみつけてまっしぐら(笑)

加藤

画が浮かびます。

瀬下

その姿を見て親御さんも普段やらないことをやったり、実際に暮らしている方の「マンションで暮らしていた頃と心の持ちようが変わって、小さなことが気にならなくなった、子どもに怒らなくなった」という声も印象的でした。

加藤

環境が心をつくっていきますから。木に囲まれた環境は子どもの生育に影響するだけじゃなく、大人の心にもゆとりを生むのでしょうね。

大木が屋根を貫く、木の温もりに包まれた楕円形の園舎。自然を見て触れて感じる体験から、自ら考え行動する力を育んでいる

ワクワクしながら
木に寄り添う暮らしで世界を豊かに

瀬下

加藤先生が教育で大切にされていることはなんですか?

加藤

子どもたちが、どんな時もワクワクする気持ちを忘れない人間になってほしいと常に思っています。そこに明るい未来がある。

瀬下

BESSでもブランドスローガンで“「住む」より「楽しむ」”という言葉を掲げています。機能も大事ですが、なにより「自分が好きかどうか、わくわくするか」が一番大事だと思っています。

加藤

私がよく人に伝える好きな言葉に、孔子の「知・好・楽(ちこうらく)」というのがあって、「物事を知っていることはとても貴重。それが好きだっていう人は、すごく素晴らしい。さらにそれを楽しんでいる人にはなにをやってもかなわない」という意味です。

瀬下

ちょっと驚きました。BESSの創業者も昔からよく「知<好<楽」を言っていて、その考えはスタッフの精神や家の作り方、設計思想の根底にも宿っています。

加藤

素晴らしい! 結局、いつもわくわくしている人が一番幸せなんですよ。

瀬下

あと、家づくりの原点に「原っぱに天幕」という思想も。豪華さじゃなくて自然の中で人間らしくのびのびと暮らすようなおおらかさ。そういった考えもどこか「ふじようちえん」に通じるものがあると感じました。

加藤

ありのままということですよね。講演とかでよく言うのですが、人は「素で生きる」のが一番強い。たとえば高級なスーツ、時計、車で装飾しても、無垢な子どもには何にも通用しない。素で向き合わないといけません。それは山や原っぱで自然のままに生えている木と同じようなものです。

瀬下

「木の家は、犬でたとえるとロボット犬ではなく生身の犬」というのがBESSの考えで、つまりは“生き物”ということ。思い通りにならないけど、その分愛着がすごく増していって自分と一緒に育っている感覚を楽しめます。

加藤

雨が降った後は、雨上がりの匂いがするし、風が強い日は感じ方が変わったり、“生きている”という感覚が人にとって心地良いんですよね。安心感を与えてくれる。

瀬下

「人も自然の一部」ということも感じさせてくれます。

加藤

そういったBESSの木の家に対する想いやそこで暮らすという行動が、環境にも伝わって良いコミュニティーを作ると思います。それが広がって世界を豊かにする大きな力になればいいですね。

瀬下未来子さん ワクワクする気持ちが大切!
瀬下

同感です。では、最後に加藤先生の夢を教えてください。

加藤

色々あるのですがひとつは、「ふじようちえん」で育った子どもたちが進学する「ふじようちえん附属小学校」をつくること。

瀬下

幼稚園附属小学校は斬新ですね(笑)

加藤

あとは、先日モンテッソーリ教育のアジア大会があって、そこで基調講演をさせていただいた時にも伝えたのですが、「ふじようちえん」には様々な国の子どもが遊びにきて、子ども同士交流します。そうするとお互い言葉は分からなくても折紙とかやってすぐに打ち解ける。それを見て世界中の子どもたちが繋がる「世界幼稚園」を作りたい、と思ったんです。未来をつくるのは子どもたちだから、世界中の子どもたちが、みんな繋がってしまう未来こそが、世界平和につながる近道なんじゃないかなと本気で考えています。

瀬下

壮大で素敵ですね!

加藤

BESSはどういった未来を目指していますか?

瀬下

これまで通り「人が自分らしく心豊かに生きていくってどういうことだろう」と問い続けながら、皆さんに考えてもらえるきっかけになるようなブランドでありたいです。今は家をメインに取り扱っていますが、新築の戸建てじゃなくて賃貸だったり、様々な可能性を模索しています。

加藤

今後の展開が楽しみです。私の教育のアプローチとBESSの家がリンクできる場面があったら面白いですね。

瀬下

今度ぜひ子どもたちと遊びにきてください! 私たちは「BESSざわり」って呼んでいるのですが、展示場は、「どきん、どくん、じわー」と本能を呼び起こすような空間作りを意識しているので、いろんな感覚をつかってのびのび楽しめると思います。

加藤

喜んで行きますよ。こういったログハウスで、生きている木の変化を感じながら暮らしていると、自分と一緒に育っている感覚も生まれて愛着も増す。そういった豊かな心を持つ家庭が増えて、コミュニティーとして広がっていくと、世界は良い方向に向かっていく。

瀬下

理想ですね。今回お話して、「ふじようちえん」やBESSの家で育った、自分で面白いことをみつけられる子どもたちが沢山増えたら楽しい未来になるだろうなって感じました。

質感のある無垢材が心地よいモデル「COUNTRY LOG」。好奇心をくすぐる「フローリング土間」で今回の対談を行った

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空間も、懐も広々なログハウスが
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そこに、ありのままのあなたが
家にそっと馴染んでいく。

そんな、BESSの“ログ”で、
自然体に生きるヒントを
見つけてみませんか。

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